暮色が濃くなると、K駅構内は若者のような生気をとりもどす。流れるように動く列車や、ひしめきあう人なみ。わたしは、こんな活気のあるK駅の風景が好きだ。朝夕のラッシュ時は、近郊からの通勤通学等で混雑し、吹き出す人波を吸収して活動する。K市特有のふん囲気が街にあふれるのである。わたしは、この日もK駅構内でくぎづけになった。たくましい生活エネルギー、庶民的な感情…………………殺伐、事故など……………。喜びにもりあがり、悲しみによどむ生活の川がここにもある。
『駅、駅、駅…………』駅はわたしに、しみじみと語りかける。セピアとバーント・シェンナーのふん囲気の中を、人の気配を乗せたブラック、コバルトブルー、オレンジ色の車両が流れる。K駅構内のドラマは、庶民生活の縮図になって、わたしの心をうばう。