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私の好きな風景

鉄道風景とS先生のこと

鉄道風景とS先生のこと

 小学校5・6年生の時、担任だったS先生のご尊父と私の父は、北朝鮮の鉄道員で近くの住人でした。城津公立国民学校1年生の時、先生は新米教師でした。

 第二次大戦の戦況が厳しくなり、先生は出征兵士として児童生徒に見送られて列車で北の方に向かわれました。

 その後先生のお父様も私の父も貴重な命を貴重な命を失う悲劇がありました。残された家族は日本へ引き揚げましたが、幼少期のことで、その間の記憶は定かではありません。先生はシベリアに抑留帰国され、小学校に復職されました。私が通っていた小学校へ転任して来られ、私の5・6年の担任になる奇遇がありました。母親などを困らせていた多感な少年時代の私にとってS先生は私のことをよく知っておられるだけに以心伝心があり、無言の説得力や激励があったように思います。

 私は鉄道風景が好きで鉄道員にあこがれた時がありました。

 ある展覧会に鉄道風景画を出品しました。

 先生から一通の手紙が届きました。「貴君の作品を見ました。私の父も同じ鉄道員だったので感慨無量の気持ちです。今後の精進を祈る。」という内容でした。毎年、年賀状を交わしている恩師の一人です。