1. Home
  2. essay
  3. 009

鉄道風景の回想

二、駅の無い駅(東桜島、上甑、坊泊)

二、駅の無い駅(東桜島、上甑、坊泊)

東桜島は初任地である。学校の前を国鉄バスが通り出張の時など、バスと桜島フェリーを再三利用した。

ある夜、最終バスで東桜島へ向かう時、二匹の狸が道路を横断し、びっくりした運転手はバスを止めた。

私は好奇心があり、そこで途中下車して狸の足跡を調べた。後日、クラスの生徒と狸狩りを試みたが失敗し、大げさな噂のみが校区の話題になった。

上甑は船舶が唯一の交通機関で、鉄道とは無縁の離島である。鉄道風景のテーマを断念し、船や海や甑島を素材にした絵を描きながら、郷土教育の開発を真剣に考えた。その時はじめた生徒会新聞「海風」は、20年後の現在も継続発行されている。

坊津は史と景の町で郷土史の史実に関する興味関心を高めさせられた。
狭い急傾斜地に住宅が集合する風景は、人間の絆の強さや、たくましい生活エネルギーを感じさせられた。また、地理的自然の宿命がプラスして、坊津の良さや独自の文化や歴史を創り出す。鉄道の無い町の良さに敬服させられ、懐かしい。