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鉄道風景の回想

三、ローカル線(枕崎、牧園、川内)

三、ローカル線(枕崎、牧園、川内)

M 駅は豊富なキャッチフレーズに恵まれている。かつおの香り、九州本土最南端、終着駅、台風上陸地、風の芸術展、港町、電照菊栽培、M飛行場等......。

列車が県立水産高校のある無人駅から、遠見番岬にさしかかると、M市の海や街が広がり、シンボルの火の神公園「立神」が見え、M 市を印象づける。

次の任地は、霧島山麓の中学校。肥薩線K 駅附近に住んだ。K駅から霧島の連山など見えないが、列車の窓から入るさわやかな空気は今も忘れられない。

特に秋から冬に向けては、雑木林から発色するセピアとバーントシエンナの色彩が美しく、フランスの画家ガントナーの風景画の中を列車が走っているようである。出張の時など好んでM 町K 駅から上下車した。

S駅は鹿児島市から50 分程度で着き、列車の便数も多いので、鹿児島市への出張は好都合だった。宴会も三次会まで付き合い、23 時の列車で帰宅できた。

二人の息子は。S市の小・中学校に在籍していたので、夏休みなどS駅を親子で描いたり、作品展などにも出品した。この作品は、貴重な記録になっている。