私の出身校(南さつま市田布施小学校)に東郷平八郎元帥直筆の骨董品の如き校旗があった。六年生の時だったと思う。当時の寺師寿房校長先生が、校旗の由来を紹介し価値ある逸品であることを強調された。
この校旗は、昔、樺山校長という方が、東郷平八郎の毛筆サイン入り「多夫施小学校・校旗」作成を東郷元帥の側近にお願いしたところ、当人は鹿児島出身の樺山大将の依頼と勘違いされての承諾だったというエピソードなど、なぜか私の記憶に残っている。
教職の道に入り、北薩教育事務所に勤務した時、管内の東郷町藤川小学校を祁答院町の藺牟田小学校に、同類の校旗が学校のお宝として厳重保管されていることを知った。
学校訪問等で、意外な人物書や作品(芸術的逸品)に遭遇し、その由来を知りたくなることは多い。
大口市の羽月小校長室には、東郷平八郎元帥の「羽月」と浄書された直筆の掛額と山口長男画伯の油絵小品が掲げてあった。
いずれも、学校に現存する類稀な芸術的逸品である。
私が知る東郷平八郎直筆の校旗三本を思えば、県下の学校にはかなりの数があるのではないかと思ったりしている。
私の母校のお宝「校旗」を思い出し、校長室に伺ったら、昔の木造校舎は姿を消して、校舎も校旗も新選に輝いて見えた。
東郷元帥直筆の校旗は今は行方不明で、校長もその由来等に驚き案じていたが……。
2007(平成19)年7月23日第369号